「派遣社員って退職金はもらえるの?」
派遣で長く働いている人や、これから派遣の仕事を探している人なら、退職金について気になるのではないでしょうか。
結論からいうと、派遣社員でも退職金を受け取れる仕組みはあります。
ただし、正社員のように「派遣社員なら必ず退職金がもらえる」というわけではありません。
派遣社員の待遇は、派遣先均等・均衡方式または労使協定方式によって決められます。そのため、退職金の扱いも派遣会社の制度や労使協定の内容によって変わります。
また、2026年10月1日からは、派遣労働者の雇入れ時などに「退職手当の有無」が明示事項になります。
この記事では、派遣営業として8年間働いてきた経験をもとに、派遣社員の退職金について「本当にもらえるのか」「どんな仕組みなのか」「確認するときのポイント」までわかりやすく解説します。
この記事の結論
- 派遣社員でも退職金を受け取れる仕組みはある
- ただし、すべての派遣社員に現金の退職金が支給されるわけではない
- 労使協定方式では、退職手当について一定の水準を確保する仕組みがある
- 退職金制度・前払い退職金・中小企業退職金共済制度などの方法がある
- 2026年10月1日から「退職手当の有無」が明示事項になる
- 「退職金あり」だけでなく、どの方法で支給されるのかを確認することが大切
派遣社員に退職金はある?

派遣社員でも退職金を受け取れるケースはあります。
ただし、「派遣社員なら全員が退職時にまとまった退職金をもらえる」という意味ではありません。
派遣労働者の待遇については、派遣元事業主が派遣先均等・均衡方式または労使協定方式のいずれかによって待遇を確保する仕組みになっています。
そのため、退職金についても派遣会社の制度や待遇の決め方によって扱いが異なります。
特に労使協定方式では、退職手当について一定の水準を確保するための仕組みが設けられています。
「派遣だから退職金がない」は間違い?
「派遣社員は退職金がない」と思っている人もいるかもしれません。
しかし、これは一律には言えません。
派遣社員の場合、退職時にまとまった金額を受け取る一般的な退職金制度だけではなく、毎月の賃金に退職金相当額を反映する方法などもあります。
そのため、求人を見るときに「退職金なし」と書かれていても、必ずしも待遇全体が悪いとは限りません。
重要なのは、退職金がどのような方法で待遇に反映されているのかを確認することです。
派遣社員の退職金にはどんな仕組みがある?
労使協定方式では、派遣労働者の退職手当について、主に次のような方法があります。
1. 退職手当制度による方法
1つ目は、一般的な退職金制度を設ける方法です。
派遣会社が退職手当制度を設け、勤続年数などに応じて退職金を支給します。
この場合は、退職時にまとまった金額を受け取る一般的な退職金制度に近いイメージです。
ただし、支給条件や金額、最低勤続年数などは派遣会社の制度によって異なります。
そのため、単に「退職金制度あり」と書かれているだけではなく、どのくらいの勤続期間から対象になるのか、どのように金額が決まるのかまで確認することが重要です。
2. 前払い退職金として支給する方法
2つ目は、退職時にまとめて支払うのではなく、退職金相当分を毎月の賃金に上乗せして支払う方法です。
この場合、働いている間に退職金相当分を受け取るため、退職時にまとまった退職金が支給されるとは限りません。
派遣社員からすると「退職金がない」と感じるかもしれませんが、実際には毎月の賃金に退職金相当分が含まれている場合があります。
求人や雇用条件を見るときは、「退職金なし」だけで判断せず、前払い方式になっていないか確認しましょう。
3. 中小企業退職金共済制度などを利用する方法
3つ目は、派遣会社が中小企業退職金共済制度(中退共)などの制度を利用する方法です。
この場合は、派遣会社が一定の掛金を拠出し、制度を通じて退職金を受け取る仕組みになります。
利用している制度や掛金、支給条件については派遣会社によって異なるため、具体的な制度名や加入状況を確認しておくと安心です。
労使協定方式なら退職金は必ずもらえる?
「労使協定方式=退職時に必ずまとまった退職金がもらえる」という意味ではありません。
ここは非常に重要です。
労使協定方式では、派遣労働者の退職手当について一定の水準を確保する必要がありますが、その方法には複数の選択肢があります。
例えば、
- 退職手当制度を設ける
- 前払い退職金として支給する
- 中小企業退職金共済制度などを利用する
といった方法があります。
そのため、同じ「労使協定方式」の派遣会社でも、退職金の受け取り方が同じとは限りません。
2026年度の労使協定方式では退職金割合5%
2026年度に適用される労使協定方式では、前払い退職金などの方法について、一般基本給・賞与等の額に5%を乗じた額以上とする仕組みが示されています。
これは「派遣社員全員に給与の5%が必ず別途振り込まれる」という意味ではありません。
あくまで労使協定方式において、退職手当の待遇を確保するための基準として使われるものです。
また、退職手当制度による方法では、一般の労働者に適用される退職手当制度との比較によって、同等以上の水準を確保する考え方があります。
したがって、派遣社員が自分の退職金について確認するときは、「退職金はありますか?」だけでなく、「どの方式で退職手当を設定していますか?」と聞くと、より具体的に確認できます。
派遣先の正社員に退職金があるなら派遣社員ももらえる?
派遣先の正社員に退職金があるからといって、派遣社員に同じ制度がそのまま適用されるわけではありません。
派遣社員の雇用主は派遣先企業ではなく、派遣会社です。
そのため、派遣先の正社員が利用している退職金制度を、派遣社員が直接利用するわけではありません。
一方で、派遣先均等・均衡方式では、派遣先の通常の労働者との間で、基本給・賞与・手当・福利厚生など、それぞれの待遇について不合理な待遇差がないようにすることが求められています。
退職手当についても、2026年10月から適用される同一労働同一賃金ガイドラインで考え方が明確化されています。
ただし、これも「正社員と同じ退職金を必ずもらえる」という意味ではありません。
同一労働同一賃金なら退職金も正社員と同じ?
結論として、同一労働同一賃金だから派遣社員の退職金が正社員と必ず同じになるわけではありません。
退職手当には、勤続への報償や賃金の後払い、労働意欲の向上など、さまざまな目的があります。
そのため、退職手当の性質や目的、職務内容、配置変更の範囲などを踏まえて、待遇差が不合理かどうかが判断されます。
つまり、
「派遣社員だから退職金がなくても問題ない」
とも、
「正社員と同じ仕事だから退職金も必ず同じ」
とも、一律には言えません。
自分の待遇について疑問がある場合は、派遣会社に具体的な制度や待遇差の理由を確認しましょう。
2026年10月から「退職手当の有無」が明示される
2026年10月1日から、派遣労働者に関する労働条件の明示事項が変更されます。
雇入れ時には、「退職手当の有無」が明示事項に含まれるようになります。
また、派遣時についても、派遣先均等・均衡方式の場合には退職手当の有無などを明示することが必要になります。
さらに、労使協定の対象となる派遣労働者なのかどうかについても確認できる仕組みになります。
📌 2026年10月から確認したいポイント
- 退職手当の有無
- 賞与の有無
- 昇給の有無
- 労使協定の対象者かどうか
- 待遇差の内容・理由について説明を求められる旨
2026年10月の派遣制度改正について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
2026年10月から派遣社員は何が変わる?同一労働同一賃金の改正ポイントを営業経験8年が解説
派遣社員が退職金について確認する3つのポイント

① 退職金制度の有無を確認する
まずは、派遣会社に退職金制度があるのかを確認しましょう。
例えば、
「この求人は退職手当の対象になりますか?」
と聞けば、求人単位で確認しやすくなります。
② どの方法で支給されるのか確認する
退職金については、単に「あり・なし」だけではなく、どの方法で待遇に反映されているのかを確認しましょう。
- 退職手当制度
- 前払い退職金
- 中小企業退職金共済制度など
方法によって、働いている間に受け取るのか、退職時に受け取るのかなどが変わります。
③ 支給条件を確認する
退職金制度があっても、すぐに対象になるとは限りません。
次のような条件を確認しておきましょう。
- 最低勤続年数
- 支給対象者
- 退職理由による違い
- 支給額の決め方
- 前払い方式かどうか
特に「退職金あり」という求人を見つけた場合は、いつ、どの条件で、どのくらい受け取れるのかまで確認することをおすすめします。
派遣営業8年の経験から見る「退職金だけで派遣会社を選ばないほうがいい理由」
派遣営業として8年間働いてきた経験からすると、派遣会社を選ぶときに「退職金があるかどうか」だけで判断するのはおすすめしません。
派遣の求人では、時給や交通費、手当、賞与、退職金など、待遇全体を見る必要があります。
例えば、
A社:時給1,700円+退職金なし
B社:時給1,600円+退職金あり
という求人があった場合、単純にB社のほうが得とは判断できません。
退職金の支給条件や金額だけでなく、毎月の給与や年間収入まで含めて比較する必要があります。
特に前払い退職金の場合は、働いている間の賃金に退職金相当分が反映されるため、月々の給与と退職時の受け取り方を分けて考えることが重要です。
派遣会社によって時給が違う理由については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
派遣会社によって時給が違うのはなぜ?同じ仕事でも差が出る5つの理由を営業8年が解説
派遣社員の退職金に関するよくある質問
派遣社員は退職金をもらえますか?
派遣社員でも退職金を受け取れる仕組みはあります。
ただし、すべての派遣社員が退職時にまとまった退職金を受け取るわけではありません。退職手当制度や前払い方式など、待遇の設定方法を確認しましょう。
派遣先の正社員に退職金があれば派遣社員ももらえますか?
派遣先の正社員に退職金制度があるからといって、派遣社員に同じ制度がそのまま適用されるわけではありません。
派遣社員の待遇は、派遣会社との雇用契約や待遇の決め方によって決まります。
労使協定方式なら退職金は必ずありますか?
退職手当について一定の水準を確保する仕組みがありますが、「退職時にまとまった退職金を必ず受け取る」という意味ではありません。
退職手当制度、前払い退職金、中小企業退職金共済制度など、複数の方法があります。
前払い退職金とは何ですか?
退職時にまとめて支給するのではなく、退職金相当分を毎月の賃金に反映して支給する方法です。
そのため、退職時に別途まとまった退職金が支給されない場合があります。
2026年10月から何が変わりますか?
2026年10月1日から、派遣労働者の雇入れ時などに「退職手当の有無」が明示事項になります。
これから派遣の仕事を探す場合は、退職手当の有無だけでなく、どのような方法で待遇に反映されるのかも確認しておきましょう。
まとめ|派遣社員にも退職金の仕組みはある

派遣社員でも、退職金を受け取れる仕組みはあります。
ただし、正社員のように全員が退職時にまとまった退職金を受け取るわけではありません。
特に労使協定方式では、退職手当について一定の水準を確保するため、複数の方法が用意されています。
今回の記事で覚えておきたいポイントは次の5つです。
- 派遣社員でも退職金を受け取れる仕組みはある
- 退職手当制度だけでなく前払い退職金などの方法もある
- 労使協定方式では退職手当について一定の水準を確保する仕組みがある
- 2026年10月1日から「退職手当の有無」が明示事項になる
- 退職金だけでなく時給・賞与・手当など待遇全体を比較することが大切
「退職金あり」の派遣求人を見つけた場合も、退職金の有無だけで判断せず、支給方法・条件・金額・毎月の時給まで確認するようにしましょう。
気になる求人があれば、応募前に派遣会社へ具体的な条件を確認しておくと安心です。
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参考:厚生労働省「派遣労働者の同一労働同一賃金」
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